戦前の日本では、その地で採れた良質の木材が建築に使われてきました。
しかし戦後の建設ブームで安い強制乾燥材や外国の安価な木材が多く使われるようになってしまいました。
長い時間を掛けて自然乾燥した国産の木材はほとんど使われなくなってしまったのです。
そのため、「古材は昭和25年以前に建てられた建築物に用いられた木材」というラインを定めました。
すなわち「古材」とは「築50年以上の民家に用いられていた木材」と定義しております。
古材を使うメリット
- (1)新材よりも強度があります。
- 古材は長い時間をかけて自然乾燥をしていき強度を増していく「天然乾燥材」です。 樹齢100年の檜(ヒノキ)の場合は伐採されてから100年後が最も引っ張り強度・圧縮強度が増しており、その後はゆるやかに強度が減少し、300年を経過すると伐採時と同程度の強度に戻るという研究結果もあります。
現在広く使用されている「強制乾燥材」は、130℃近くの高温で強制的に乾燥させた木材です。短時間で強度を上げられ、反りや割れなどがなくなり加工しや すい木材となりますが、樹脂まで染み出してしまいパサパサになります。結果、木の弾力性や艶はなくなり、木材の行う呼吸(調湿効果)は減ってしまいます。
耐震性も減ってしまい時が経つにつれ劣化します。実は自然乾燥された「古材」は、「新材」より丈夫で長持ちであるとも言えるのです。 - (2)経年変化の味わい
- 古材には、いぶされて黒ずんだ肌、経年変化による傷や割れ、大工さんが刻んだノミの跡など、新しい木材では決して出せない風情や迫力があります。
- (3)環境に優しい
- まず、家の解体の際の廃棄物を減らすことができます。
そして、新築やリフォームなどに積極的に古材を活用することにより、資源循環型の社会に貢献します。
古材と環境「4R」
地球環境保護のため、我が国においても2000年に制定された循環型社会形成推進基本法で
Reduce(リデュース)- 廃棄物の発生抑制
Reuse(リユース)- 使用済み商品などの適正な再利用
Recycle(リサイクル)- 最終的な資源再生
という「3R」が詠われ、重要な施策として建築業会では「建設リサイクル法」などが制定され産業廃棄物処理の適正化が図られています。
そして、新提案として「3R」にもう一つ、Refine(リファイン)を加え、「4R」にしたいと考えます。
私たちの活動にこの「4R」を照らしてみると、
- (1) リデュース
- 最も重要視されているリデュースにおいては、古民家鑑定士が行う古民家鑑定書の作成などによる、まだ使用できる古民家などの、伝統的建物を解体・廃棄しないで再活用可能な住宅であることを広く一般の皆様へ提唱しております。
- (2) リユース
- どうしても解体を行わざるを得ない場合、できるだけ形状を変えない形で構造木材=古材の再活用を提案
- (3) リサイクル
- 形状をかえる場合のリサイクルにおいても木材の特性を活かした提案を行ってきております。
- (4) リファイン
- リファインとは、「洗練された」という意味を持ち、従来のリサイクルやリユースにデザイン性や質感やセンスをプラスしていきます。
この「4R」を考えた、高いレベルでの顧客満足の向上を目指して活動して参りますので、今後ともご期待いただきますようお願い申し上げます。